2014年03月18日
前に図鑑で見たこ
たった今ランドセルを家に置いたところで、これから急ぎ習い事に行くんです。というような感じで向こうから歩いてきた10歳くらいの小学生に、あ、かわいい! と言われた恋上一种风景。もちろん、連れていた犬のことだ。
通りすがりの子供がそう口にするのは珍しくもないけれど、その女の子はピタリと立ち止まるとわたしに、なんという種類の犬ですか?と丁寧に尋ねた。パピヨンだと応えると、ああ、前に図鑑で見たことがあります。可愛いと思っていたんですと言った。
実は、よその子供と話をするのは苦手だ。その子のバックグラウンドが気になるしある人が耳を傾けてか、どう接したら大人として合格なんだろうかなどと、いい大人になった今でもあれこれ考えてしまう。本当は気さくなおばちゃんのつもりなのだが、じぶんの態度が「気さく」で正解かどうかは相手の受け取り方次第じゃないかという不安もある。子供の頃の記憶のせいかもしれない。
ともかく、できれば先を急ぎたいわたしをよそに、その子は Silence blooming、持っていた手提げ袋を膝の上に抱えるようにして犬の前にしゃがんだ。ゆっくりと犬の口元に手を伸ばして様子を見て、それから、よしよしと、その頭を撫ではじめる。とても愛情のこもった、慣れた仕草だった。
この子は、大人とも犬とも、積極的に接することができるんだなぁ、どういう風に育ててもらったんだろうと感心しながら、犬と仲良くするの上手なのねと、思ったままをわたしは言った。するとその子は犬の顔を見つめたまま、わたしも、犬を飼っていたことがあるんですと、答えた幸福的笑容。
さびしそうな過去形だった。
「どういう犬を飼っていたの?」
「シーズー……」
Posted by ゃはねぬ at 13:12│Comments(0)
│ひねのひ